海景
白昼の港。
太平洋の遥か東。
360度、海、海、海。
「カタカタカタ…カタカタカタ…カタカタカタ…」
海の上で映写機が回り続けている。
彼はいろんなことが終わることを考えていた。
年号が変わる。歴史が変わる。携帯電話を持つ。小さな手紙を書く。
コードを覚える。ピアノを弾く。英語を話す。
「こんにちは」と「さよなら」を、話し続ける。
日々、何もかもが変化していく。
そして踊る。
踊り明かす。
疲れる。
踊る。
手を取る。
踊る。
手を離す。
踊る。
踊る。
どんなに周囲が変わっても、時代が変わっても、彼が進むスピードは変わらなかった。
そしてまた踊る。
そこに、理由はない、答えもない、思想もないこともない。
「こんにちは」と「さよなら」を話し続ける。
恐ろしい。怖い。逃げたい。
踊る。
客観視はしたくないが、主観的に受け止めては辛すぎる。
「こんにちは」と「さよなら」を話し続ける。
それでも耳を塞がないようにしよう。
そして、僕と踊ってくれ。
出来れば笑って、僕と踊ってくれ。