「気付かれてしまった。」 望遠レンズの中に映っていたのは紛れもなく僕自身だった。空気が湿り気を帯び、ほんの少しだけ夜が短くなっていた。 予感はもう眼前に迫っていて、その吐息や肌の温度は恐ろしく生暖かかった。 僕等はもっと確実なものになるだろう…
"東京テレポート" そこに水色とピンクがヒラヒラと風を受けていた。 ビビッドなカラーフィルタの光が放たれては遮られ、また放たれては遮られを繰り返す。 ちょきちょきとビニールテープを切り刻んでいく、輪っかを作る、カーテンを引き剥がす。 貴女を思い…
”ビコーズアイワズヤング” いい響き。 酒を飲み過ぎた。 遅刻をした。 くだらない嘘をついた。 虚勢を張って、自分や過去を隠した。 傷ついたフリをしてみたり、傷つかないフリをしてみたり、 どうしようもない歌を歌って、どうしようもないプライドを注ぎ込…
君はなぜか不幸せそうな顔をしていた。話をするのが得意じゃないんだ僕は自分のことばかり考えている彼女の顔はまったく思い出せなかった。僕は頭が悪いってことはわかってる。すまない。でもこういうやり方しか知らないんだ。ホームへと降りた。駅前には申…
白昼の港。 太平洋の遥か東。 360度、海、海、海。 「カタカタカタ…カタカタカタ…カタカタカタ…」 海の上で映写機が回り続けている。 彼はいろんなことが終わることを考えていた。 年号が変わる。歴史が変わる。携帯電話を持つ。小さな手紙を書く。 コードを…
「細長い道を抜けて、防波堤に沿って歩く、太陽の下、そこに未来があった。」 (ギネス・ハートランド「Go Future」より) みなさん”空白の後で”聞いてくれてますか? 思えば、約1年前の11月3日に僕らは1st「空の位置ep」を出しました。 スタジオ練やっ…
こんばんは yukue初来阪イベントsensouが終わりました。 書き足りないので書きます。 もう散々呟いたけどね。 でも、今日までは浸らせてくれ! まず、主宰に感謝。 しつこいですか?? 本当に楽しかった。 思い出深い、濃いイベントだった。 特に僕らは初の…
僕はいつだって忘れてしまう。 愛する君を失うこと。 愛している場所を、時間を、瞬間を失うこと。 どうしようもなく、それは必ず起こることなのだということ。 それでも、僕はハッピーエンドもバッドエンドも見ない。 ただ、 3度の食事をして、 昨日のこと…
いくつもの冬といくつもの春が過ぎて、カレンダーをめくる速度が歩く速さを追いこし、いつしかめくることをやめてしまった頃、僕は今の僕になった。 その間にいくつもの約束をして、いくつもの約束をふいにされ、いくつもの約束をして、いくつもの約束をふい…
暑さで目が覚めてしまった。 枕元に置いた携帯電話のホームボタンを押す。 時間は夜中の3時を回ったところだった。 寝るときにはついていたはずのエアコンが消えたのかと思ったが、そんなことはなかった。 水を飲もうかと思ったけど、口の中の湿った粘り気…
彼は昔よくこんなことを言っていた。 「俺にとって世界は希望だ。そして、希望は音楽だ。」と。 その時の私にはその意味がわからず、始発電車を待つホームの上で眠気と戦いながら、アイフォーンをいじっていた。 みんな迷っていたし、みんな笑っていた。 彼…
僕は全く空っぽな人間だと思うことがある。 ちんけなプライドとテレキャスターを持って、至極シンプルな問題を複雑に複雑にして世に放っている。 成し遂げてきたことは風みたいなものだ。 あまりにも生産性のない時間を食いつぶしている。 後悔と郷愁と一杯…
春、僕は映画の専門学校に入学し、君は歯科助手として働き始めた。 小さな街で始まった小さな生活は、カーテンの向こうから覗く日差しのように柔らかい温度を持っていた。 例えば、厚手の毛布をしまい新しいタオルケットを出すとき、ベランダで君の髪が風に…
「ブクブクブク。」 「忘れていく。」 「水をくれ水を。」 「君の写真を見てる。」 「許せないことばかりだ。」 「おばあちゃんが言ってたの。」 「もう会えないんだね、二度と。」 「見てっ、花火だよ。」 「さようなら。」 「・・・」 水槽のクジラという…
夜はゆっくりとやってくる。 国道の向こうからそっと寄り添うように、包み込むようにやってくる。 君にも彼にも君のおばあちゃんにも孤独を与えるためにやってくる。 「君はいつも泣いてるフリをしているね。」夢の中でバクが言った。 「あなたはわたしのこ…
「何もいらない。」 ただずっと絵を描いている 誰もいない部屋でただ絵を描いている "決まって夢を見るの。" 誰かに連れ去られてしまうような 全部嘘に変わってしまった。 君は奇跡を願う そしてまた空白 昨日、一昨日とライブでした。 アルコールに蝕まれ僕…
目を閉じるといつも海が広がります。 誰もいない砂浜で両手を広げて風にのってどこかへ飛ばされてみたいと思うのです。 言葉はいつも私を迷わせるけど、風景には意味なんかなくて溺れてしまいそうになります。 私が一番大好きな水色のタオルはお母さんの匂い…
「青年よペンを持て。」 「僕らにはあまりに時間がない。」 「本を読むのはとてもいいことだ。」 「でも、君のその右手はただページをめくるためにあるのではない。」 「これまでの君のこと、これからの君のことを書くためにあるんだ。」 「そして、できれば…
椅子はシンプルなものがいい。 身体にあったものを選ぶのはもちろんだが、 カラーもデザインも飽きのこないものがよい。 頑丈な椅子はあなたを健康にするだろう。 美しい椅子はあなたを美しくする。 丁寧に作られた椅子はあなたの生き方を整える。 昔僕が好…