スリープ
暑さで目が覚めてしまった。
枕元に置いた携帯電話のホームボタンを押す。
時間は夜中の3時を回ったところだった。
寝るときにはついていたはずのエアコンが消えたのかと思ったが、そんなことはなかった。
水を飲もうかと思ったけど、口の中の湿った粘り気をそのまま流し込むことが躊躇われた。かといって、歯を磨いてしまってはもう一度寝につくことが憚れそうだったので、ベランダに出て夜風に当たることにした。
夜風は思いの外、涼しくて心地が良かった。
帰宅時に降っていた小雨はもう上がっていて、湿った空気が夜を一層深めている。
ベランダから見下ろすとアスファルトが少しだけ湿っていて、街灯の光をぼんやりと薄く反射していた。
外を歩く人は一人もいない。
信号が変わるたびにぱらぱらと大型のトラックが行き来するだけだ。
昼間、
電車に乗るとき急に悲しくなった。
ドアの端にたって降車する人を待ち、ドアをくぐったとき。
なんでかわからないけど悲しくなった。
イヤフォンから音楽が流れる。
きっと私が感じてるものはチープなものなんだろうなと思った。
私の世界はどうしようもなく守られている。
守られていないと私はきっと無理だ。。。
私は自分の幸福を少しだけ恨んだ。
じゃあ何が本物なのか?
古典?歴史?純文学?古い映画?
それらは知識として私の中にあるもので、私の世界を形成するものではなかった。
私の世界を薄く優しく照らすのは今は頼りないものだけだ。
忘れたくないな。
”いつか”
も寄り添っていれるといいな。
悲しみは悔しさに変わって、
早送りみたいに時間が流れればいいと思った。
知らないうちに痛みを覚えていたい。
自分の背中が引かれていって、世界が離れていけばいいと。
耳を塞いでいるうちに取り返しのつかないことになればいいと。
そう思った。
ベランダの片隅に灰皿を見つけた。
横に父のライターとマルボロが置いてあった。
母は嫌煙家で、父が家の中でタバコを吸うことを嫌う。
父に対してでさえそんな調子なのに、女の子の私がタバコを吸ったりしたら、きっと大変なことになるだろうな。
ライターをこすり、そっと火をつける。
煙の苦さでむせそうになる。
私はすぐに火を消して、ティッシュにタバコを包み、そっと部屋のゴミ箱に捨てた。
そして、再び眠りについた。
朝になるといろんなことが少しだけクリアになっていた。
コーヒーとトーストの匂いがした。
取り返しのつかないことにならなくて良かったと思った。
コーヒーを口にしたとき、
かすかに喉が痛んだ。
こんばんわ。
久々に更新しました。
yukueの近況をお伝えすると、
レコーディングしたり、エモい新曲ができてきたり、
表立って何かということはない夏ですが真面目にやってる感じです。
以外と真面目なバンドです。
録音した新曲は秋口くらいになっちゃうかも。
期待せずに待っていてくれたら嬉しいです。
ライブもきてくれると嬉しいです。
よろしゅう!